油圧ショベルの呼び方のひとつとして定着している「ユンボ」は、工事現場などになくてはならない存在です。ユンボが現場で必要になったとき、所有していなくてもレンタルという手段があります。しかし、ユンボをレンタルしても、必要な資格がなければ操作することはできません。では、ユンボを使用するには、どのような免許が必要なのでしょうか。
ここでは、ユンボの種類や大きさ、できることといった基礎知識のほか、操作に必要な資格や免許についてもわかりやすく説明します。
目次
ユンボとは?
工事現場でおなじみのユンボ。ユンボには、油圧ショベルやパワーショベル、バックホウなど、呼び方は複数ありますが、先端にショベルのついた、掘削用の建設機械のことをいいます。 ユンボは元々、海外の建設機械メーカーの商品名でした。その後、この建機メーカーと技術提携した新三菱重工(現・三菱重工業)が、国産商品として発売したY35に「ユンボ」という名称をつけたのです。現在、新三菱重工から建設機械事業を承継したキャタピラージャパンには「ユンボ」の名を持つ商品は存在しませんが、ユンボという名称だけが、言葉のシンプルさや親しみやすさから、油圧ショベルの別称として定着しています。
ユンボの役割
ユンボの役割としてイメージするのは掘削作業です。これは、ユンボについているショベルのような形状の標準バケットを使用することで、「掘る」「すくう」といった作業が可能になるからです。
また、クレーン用フックを使用することにより吊り作業に対応します。法面(のりめん)整形バケットをつけると、斜面のならしもできます。スケルトンバケットに付け替えると、ふるい分けに使えます。
バケットクラッシャーは石を砕きますし、ブレーカーを使用すると大きな岩を砕くことができます。建物の解体には、コンクリートや鉄骨を切るカッターのほか、コンクリートや岩を削る油圧ブレーカーがあります。
また、草刈り用のアタッチメントを使用して草刈りもできます。フォークやグラッブルを装着すると、つかむ作業にも対応します。林業で使用するアタッチメントでは、木を切る、切った木を枝払いする、決まった長さに切り分けるといった作業も可能です。
自動車の解体や産業廃棄物の処理用に強力なマグネットのついたアタッチメントもあります。マグネットの威力は強力で、普通乗用車を持ち上げることができます。
このように、ユンボはアタッチメントを交換することで、さまざまな作業に対応することができます。レンタルをする際は、アタッチメントも含めて検討しましょう。
ユンボの大きさの表し方
ユンボの大きさは、コンマ1やコンマ7と表記する場合と、3tクラスや20tクラスなどと表記する場合があります。
コンマで表す場合は、標準バケットの容量で区分しています。トン数で表す場合は機械の重さが基本ですが、メーカーによって機体質量(水も油もない建設機械の乾燥重量)、機械質量(運転・作業可能な状態=無負荷湿式質量)、運転質量(機械質量にオペレーターの体重を加算)など、表記基準が異なります。
なお、ユンボを運転する資格は、機体質量で区分されています。コンマとトンクラスの比較を表にしましたので、資格条件を満たしているか確認する際にご利用ください。なお、コンマ1より小さいクラスはコンマでは呼ばずに、2tクラス、1t未満などといいます。
コンマ | トンクラス |
コンマ1 | 3tクラス |
コンマ2 | 5tクラス |
コンマ2.5 | 7tクラス |
コンマ4.5 | 12tクラス |
コンマ7 | 20tクラス |
ユンボの作業に必要な資格
ユンボを使用する前に確認しておきたいのが、操作に必要な資格や移動の手配についてです。作業やアタッチメントによって必要になる資格が異なりますので、ユンボをレンタルする際には注意が必要です。ここでは、ユンボの作業に必要な資格をご紹介しましょう。
小型車両系建設機械の運転の業務に係る特別教育
「小型車両系建設機械の運転の業務に係る特別教育」を受講していれば、ユンボのスペック表示で機体質量が3t未満の機械の操作が可能になります。小型車両系建設機械の運転の業務に係る特別教育は、指定の教習所で講習を受けることで資格を取得できます。受講期間は2日間かかりますが、すでに取得している免許、資格、実務経験により、受講時間が短くなる場合があります。
車両系建設機械運転技能講習(整地・運搬・積込み用及び掘削用)
指定の教習所で受講できる「車両系建設機械運転技能講習」を修了していれば、ユンボのスペック表示で機体質量が3t以上の機械の操作が可能になります。車両系建設機械運転技能講習は、作業の目的や使う機械によって4種類に分かれていますが、ユンボを操作するためには、「車両系建設機械(整地・運搬・積込み用及び掘削用)運転技能講習」を受講する必要があります。
大型特殊自動車免許を取得している場合などは講習時間が短くなりますが、一番長い講習時間でも38時間です。ただし、自動車の運転免許のように、教習所の空いている時間に講習や技能講習が受けられるわけではなく、指定された日程で連続5日間の受講が必要になります。
車両系建設機械(解体用)運転技能講習
ブレーカーやカッターといった解体用のアタッチメントを使用する作業を行う場合は、「車両系建設機械(解体用)運転技能講習」の受講が必要になります。講習は1日となりますが、「車両系建設機械(整地等)運転技能講習」を修了していないと受講できません。
ユンボの移動に必要な免許
「小型車両系建設機械の運転の業務に係る特別教育」や「車両系建設機械運転技能講習(整地・運搬・積込み用及び掘削用)」の修了証を携行していても、一般道路の走行や移動はできません。タイヤ式のユンボを公道で走らせる場合は、ユンボのサイズによって小型特殊自動車免許か大型特殊自動車免許が必要になります。
ですが、ユンボの多くがクローラー(キャタピラー)式の走行方式であるため、一般道路を走らせることはできません。そのため、一般道路を移動する際は、トラックやトレーラーなどで移動させる必要があります。ユンボのレンタルを利用するときは、移動手段についての確認と準備も必要です。
ユンボを操作・運転するならオペレーターの確保も忘れずに
ユンボの作業や移動に資格や免許が必要なことがわかりましたが、もし、移動のための資格がないままユンボを使用したらどうなるのでしょうか。
基本的に、私有地以外の土地で、資格や免許を持っていない者がユンボの操作や運転をすることは禁止されています。この場合、事業主には「6ヵ月以下の懲役、または50万円以下の罰金」、作業者には「50万円以下の罰金」が、それぞれ科せられます。ですから、私有地で動かしたことあるからといって、ちょっとでも一般道路を移動させてはいけないのです。
※私有地であっても業務で利用する場合には免許が必要です。また、レンタルをする際も免許は必要となります。
なお、「オペレーターはいるけどユンボが足りない」という場合は、ユンボをレンタルできる、Jukies(ジューキーズ)をご利用ください。
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