クレーン作業に従事する場合、「クレーンの免許を取りたいが、クレーンと移動式クレーンは違うのだろうか?」と思う方も多いでしょう。クレーンには、一定の場所に設置されたまま移動できないクレーンや、自走できる移動式クレーンなど、たくさんの種類があるため、どの免許を取ればどのクレーンを動かせるのか、わかりにくい部分もあります。そのため、自社にクレーン資格を持つ作業員がいると安心して、使用できないクレーンをレンタルしてしまうミスもあるかもしれません。
ここでは、クレーン免許の種類と、各免許で操作できるクレーンについて紹介しましょう。
目次
クレーン免許とは?
クレーン免許とは、工場の天井に設置されているクレーンや、港で荷役作業を行うクレーン、ビルの建築作業に用いるクレーン、重い荷物を移動させるクレーンなどを、安全に操作できる人に与えられる資格です。
クレーンを使った作業はとても危険で、2017年にクレーンを使用した労働災害の死傷者数は1,622名で、うち58名が死亡しています。だからこそ、正しい知識と技術で、安全にクレーンを使用するための教育が必要なのです。
クレーンは大きく分けて、移動式クレーンと設置式クレーンの2つがあります。移動式クレーンは、クレーン自体が不特定の場所に移動できるもので、ユニック車やカニクレーンなどがあります。設置式クレーンは、クレーン自体が工場の天井などに設置されていて、固定された物を指します。
クレーンに種類があるように、クレーンの免許や資格にも特別教育や技能講習、クレーン運転士など、たくさんの種類があります。中には「クレーンの運転の業務に係る特別教育」のように、講習を受けるだけで取得できる資格もあります。
クレーンの運転の業務に係る特別教育
クレーンの運転の業務に係る特別教育を修了することで、吊り上げ荷重5t未満のクレーンの運転ができるようになります。名称は主催する教習所によって、「クレーン運転特別教育」など、多少異なりますが同じ内容となります。
クレーンの運転の業務に係る特別教育は、学科が9時間、実技が4時間、合計13時間(2日間)で修了することができます。
移動式クレーン運転士免許
移動式クレーン運転士免許は、吊り上げ荷重5t以上の移動式クレーンの運転ができます。ただし、一般道路での走行を行うには、別途、大型自動車免許が必要です。移動式クレーン運転士免許を取得するためには、移動式クレーン運転実技教習を受講する必要があります。教習内容は「移動式クレーンの基本運転(4時間)」「移動式クレーンの応用運転(4時間)」「移動式クレーンの合図の作業(1時間)」の計9時間となります。
最初に受けることになる「移動式クレーンの基本運転(4時間)」は、1日に1時間しか受けられないので4日はかかり、次に受けることになる「移動式クレーンの応用運転(4時間)」は1日に2時間までしか受けられないので、さらに2日かかります。「移動式クレーンの合図の作業(1時間)」はどの日でも受けられるので、最低6日間の教習となります。また、別途、学科試験に合格する必要があります。
小型移動式クレーン運転技能講習
小型移動式クレーン運転技能講習は、吊り上げ荷重5t未満の小型移動式クレーンの運転をする場合に必要な資格です。受講時間は最長20時間(3日間)で取得できます。玉掛け技能講習や車両系建設機械(基礎工事用)運転技能講習の修了者は17時間(3日間)で取れるなど、所有している免許や資格、実務経験によって講習時間は短くなります。
なお、以前は「小型移動式クレーン特別教育」という、0.5t以上1t未満の小型移動式クレーンを運転する資格もありましたが、1t未満の小型移動式クレーンが少なくなったことで、この特別教育は実質的に開催されていません。ですから、小型移動式クレーンを運転したい場合は、小型移動式クレーン運転技能講習を取得しましょう。
床上操作式クレーン運転技能講習
床上操作式クレーン運転技能講習を修了することで、床上で運転を行い、かつ運転者自身も荷の移動とともに移動する方式の、吊り上げ荷重5t以上のクレーンの運転ができます。受講時間は20時間(3日間)となります。
小型移動式クレーンか玉掛けの、いずれかの運転技能講習修了者は16時間(3日間)で取れるなど、所有している免許や資格、実務経験によって講習時間は短くなりますので、受講の際は確認しましょう。
クレーン・デリック運転士免許
クレーン・デリック運転士免許は、吊り上げ荷重が5t以上の天井クレーン、橋形クレーン、ジブクレーン、ガイデリック、スチフレッグデリック、ジンポールなどを運転するために必要な資格です。クレーン・デリック運転士免許には、使う重機を限定している免許もあります。
なお、クレーンは動力を使って荷物を吊り上げるタイプで、デリックは、マストまたはブームがあり、原動機を別に設置してワイヤーで操作するタイプです。
・クレーン・デリック運転士免許(限定なし)
クレーン・デリック運転士免許(限定なし)は、すべてのクレーンとデリックを運転できる資格です。教習期間は6日間ですが、別途、クレーン免許試験場で学科試験に合格する必要があります。
・クレーン・デリック運転士免許(クレーン限定)
クレーン・デリック運転士免許(クレーン限定)は、「デリック」を除いた、吊り上げ荷重5t以上を含めたすべてのクレーンの運転・操作ができます。教習期間は6日間で、クレーン免許試験場で学科試験に合格する必要があります。
・クレーン・デリック運転士免許(床上運転式クレーン限定)
クレーン・デリック運転士免許(床上運転式クレーン限定)は、吊り上げ荷重5t以上の床上運転式クレーンの運転、操作が可能です。クレーン・デリック運転士免許(床上運転式クレーン限定)免許を取得する方法は、クレーン・デリック運転士(床上運転式クレーン限定)免許の学科試験と実技試験を受験する方法があります。また、クレーン・デリック運転士(クレーン限定)の学科試験に合格していれば、床上運転式クレーン運転実技教習を修了するだけで、クレーン・デリック運転士免許(床上運転式クレーン限定)を取得することが可能です。
クレーン免許と併せて取得したい玉掛けの資格
クレーンに荷物を掛けたり外したりすることを、玉掛けといいます。
クレーン作業では、重い荷物や大きな荷物を扱いますが、バランス良く安全に吊り作業ができないと、荷物の落下などの事故につながりかねません。そのため、玉掛けの正しい知識と技術が必要になるのです。クレーンの操作資格だけでは、玉掛けの作業を行うことができないため、クレーンを扱う作業に従事する予定があるなら、玉掛け関連の教育や講習を受講しておいたほうがいいでしょう。
なお、玉掛けの資格には、特別教育や技能講習がありますが、受講要件は特にありませんし、受ける順番もありません。必要な資格を取得しましょう。
玉掛け特別教育
玉掛け特別教育は、各都道府県の登録教習機関や企業の事業所などで実施されています。玉掛け特別教育を修了すると、吊り上げ荷重1t未満の移動式クレーン、クレーン・デリック、揚貨装置の玉掛け作業を行うことが可能となります。学科が9時間、実技が4時間、計13時間(2日間)で取得できます。
玉掛け技能講習
玉掛け技能講習は、制限荷重1t以上の揚貨装置および吊り上げ荷重1t以上のクレーン、移動式クレーンもしくはデリックの玉掛け作業を行う場合に必要な、労働安全衛生法に基づく技能講習のことです。学科と実技、合わせて19時間(3日間)の受講で取得できます。
クレーン関係の免許を効率的に取る方法
クレーン免許にはさまざまな種類があります。倉庫・工場内についている天井クレーンや、タワークレーンなどが運転できる資格と、工事現場などで吊り作業を行う移動式クレーンの運転ができる資格は別になります。
そこで、クレーンの資格を取る際は、操作する必要があるクレーンの種類や吊り荷重など、事業者から求められている要件を確認して必要なものから受講しましょう。
資格によっては所有している資格や実務経験で講習時間が短くなるものもあります。
また、「港湾関係の仕事に必要な免許、資格を取得したい」と考えるのであれば、港湾職業能力開発短期大学校に通い、一気に関連資格を取得してしまうのもひとつの方法です。港湾職業能力開発短期大学校は横浜と神戸にキャンパスがあり、クレーン関係の免許や資格はもちろん、玉掛け技能講習、フォークリフト運転技能講習、大型特殊自動車運転免許、揚貨装置運転士免許などの資格も取得可能です。ただし、一部の国家資格については、校外で受験が必要なものもあります。
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クレーンは、行う作業内容により、使用する種類は変わります。クレーンが変われば、必要な免許や資格も変わります。ですから、すべてのクレーンを購入し、対応できるオペレーターを確保するのは難しいでしょう。
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