建設現場だけでなく、ガラス清掃などのメンテナンス、スタジオの照明器具や舞台装置のセッティングなど、高所作業が必要なケースはたくさんあります。このような場合に、高所作業用の足場として使われるのが高所作業車です。しかし、高所作業車といっても、たくさんの種類がありますので、レンタルなどで使用する場合は「何を借りたらいいのか?」と迷ってしまうこともあるでしょう。
ここでは、高所作業車の機能と役割を紹介した上で、運転に必要な資格について解説します。また、高所作業車をレンタルするときのポイントや、少し変わった高所作業車もご紹介しましょう。
目次
高所作業車とは?
高所作業車とは、作業床(バケット)を2m以上の高さに上昇可能な機能を持ち、走行可能な車のことをいいます。走行方式には、自走式やトラック式、タイヤ式、クローラー式などがあり、用途や使用場所により使い分けられています。高所作業車には、下記のような種類があります。
自走式高所作業車
補助動力の助けを借りずに、タイヤを使って走行可能なのが自走式の高所作業車です。作業床の上昇可能な高さは、3mの物から10m以上の物まであります。
一般道路の走行はできないため、使用用途としては、屋内工事や工場・倉庫内の配線、配管作業、メンテナンス、体育館・屋内スポーツ施設の電球の交換・清掃など、作業場所が限定されます。タイヤ駆動ですが黒タイヤ以外にも床面の養生視点からタイヤ痕が目立たない白タイヤもあります。なお、自走式高所作業車には、タイヤ式以外にクローラー式もあります。足回りがクローラーですから、不整地でも楽に走行可能ですが、タイヤ式と同様に一般道路の走行はできません。
トラック式高所作業車
高所作業車の中には、トラックの荷台にバケットやブーム(クレーン車のクレーン部分など棒状の物)、昇降装置を装備したモデルもあります。
トラック式高所作業車のメリットは、一般道路を走行できるということです。ただし、一般道路を走行する際は、トラックの大きさに適した自動車免許が必要です。また、高所作業をする場合は、操作資格が別途必要です。
橋梁点検車
橋を点検する特殊車両の橋梁点検車は、トラックの荷台部分にバケットとブームを搭載し、伸縮可能という点では高所作業車の一種といえるでしょう。ただし、橋梁点検車は、高所作業車とは違って、ブームを下に伸ばしていきます。では、なぜ下に伸ばす必要があるのでしょうか。
例えば、高速道路の点検であれば、高所作業車を下に止めて、バケットを上に伸ばせば下側の劣化状況を確認することができます。しかし、一般道路の橋や高架は川や鉄道などが下に通っていて、点検が難しいケースが多くあります。ですから、橋の上に車両を止めて、ブームを下のほうに展開することで、バケットに乗った点検員が橋の下からひびや劣化の状況などを確認しているのです。
高所作業車の運転に必要な資格
作業床が10m未満の高所作業車の操作に必要なのが、「高所作業車の運転の業務に係る特別教育」の受講です。これは、安全衛生特別教育規程第13条に基づく教育として定められており、学科と実技で9時間(2日間)必要となります。受講要件は特にありませんので、受講可能な教習所に申込みを行い、受講すれば完了です。
作業床10m以上の高所作業車の操作に従事する場合は、労働安全衛生法に基づく技能講習である「高所作業車運転技能講習」を修了する必要があります。受講要件は免許・資格の有無で変動し、例えば「移動式クレーン運転士免許」所有者であれば12時間(2日間)、建設機械施工技士合格者であれば14時間(2日間)、いずれの資格もない場合は17時間(3日間)かかります。
このように、10mを境にして必要な資格は変わりますが、実際の仕事ではどのような違いが出てくるのでしょうか。
例えば、10mといえば、ビルやマンションであれば3階か4階あたりなので、高所作業車の運転の業務に係る特別教育で作業できると考えていいでしょう。4階以上の住戸で作業を行う場合は、高所作業車運転技能講習を修了しておく必要があります。
なお、住宅の外で作業を行う際は、電線にふれることのないように注意するとともに、絶縁機能のある高所作業車を選ぶようにしましょう。
高所作業車をレンタルする際に確認しておきたいこと
高所作業車をレンタルする際には、作業の目的と作業場所を確認しておくことが必要です。では、実際にどのようなことに注意すればいいのでしょうか。
ブームの展開方向を確認する
高所作業車をレンタルするときには、作業の目的と作業場所に応じて、ブームの展開方向を確認する必要があります。ブームとは昇降機についている、棒状の作業機です。
例えば、体育館や建物のロビーなどの高所についている電球の交換であれば、屋内で上方向に上がる機能だけ備えていればいいでしょう。しかし、住宅地などの道や駐車場に止めて、2階や3階の外壁で向けて作業するのであれば、斜め方向にブームが展開しないと作業ができないかもしれません。
道路使用許可を得る
敷地内に入っての作業であれば問題はありませんが、高所作業車を使って一般道路で作業するには、道路使用許可が必要になります。道路使用許可をもらうためには、事前に所轄の警察署に申請する必要があります。
申請から許可証ができるまで、1週間ほど要する場合があります。高所作業車をレンタルしたのに、道路使用許可が間に合わないなんてことがないよう、作業日程が確定した段階で早めに申請しておきましょう。
必要なオプションを検討する
高所作業車だけでなく、作業する場合にオプションが必要なケースもあります。
例えば、大型の高所作業車を使う場合や、作業場所、作業内容によっては、アウトリガーで車体を安定させる必要があります。特に、不安定な場所やブームの角度によっては、転倒事故につながる危険性もありますので、注意が必要です。
また、トンネルや倉庫などで高所作業車を使うときに気を付けたいのが、作業に気をとられて、天井に頭をぶつけたり、挟まれたりする事故です。対策としては、「高所作業車用はさまれ事故防止 はさまれん棒」を高所作業車のバケットに取り付けることにより、ぶつかったり挟まれたりする前に、上昇を停止することができます。
高所作業車をレンタルするならオペレーター付きもおすすめ
多くの建設機械は、一般道路を走行する免許と、作業で操作をする免許や資格は、別となっています。例えば、作業員が建機を操縦するための免許しか持っていなければ、移動には別のスタッフの手が必要になってくるのです。
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