「ユンボの免許が欲しいが、どこで何の資格を取ればいいのかわからない」と、戸惑う方もいるでしょう。実は、“ユンボ免許”という名称の資格はなく、ユンボを動かすためには「車両系建設機械運転技能講習」の受講が必要となります。
そのため、自社の作業員がどのユンボなら使用可能なのか、レンタルを担当するスタッフでは、正しく把握するのは難しいかもしれません。
ここでは、車両系建設機械運転技能講習の修了までにかかる時間のほか、ユンボの操作に関連する免許や資格について紹介します。
目次
ユンボは掘削用の建機
ユンボとは、車両系建設機械の油圧ショベルやパワーショベル、バックホウなど、先端にショベルのついた、掘削用の建設機械の別称です。
ユンボは元々、海外の建設機械メーカーの商品名でしたが、その後、新三菱重工業(現・三菱重工業)が発売したY35に「ユンボ」という名称をつけ、言葉のシンプルさや親しみやすさから、油圧ショベルの別称として定着したのです。
ユンボを操作するには車両系建設機械運転技能講習が必要
最初にお話ししたとおり、「ユンボ免許」という名称の資格はなく、車両系建設機械運転技能講習を修了することで、ユンボを操作可能となります。車両系建設機械とは、労働安全衛生法施行令別表第7で定められた、動力を用いて自走できる建設機械のことをいいます。
車両系建設機械の資格は、作業の目的と使用する機械、アタッチメントなどにより、「整地・運搬・積込み用及び掘削用」「解体用」「基礎工事用」「コンクリート打設用」の4つに分類されます。ユンボは、この中で「整地・運搬・積込み用及び掘削用」と「解体用」に該当します。
車両系建設機械(整地・運搬・積込み用及び掘削用)運転技能講習
車両系建設機械(整地・運搬・積込み用及び掘削用)運転技能講習は、労働安全衛生法施行令別表第7の分類のうち、「整地・運搬・積込み用機械」「掘削用機械」が対象となる資格です。この資格を取れば、機体質量が3t以上のユンボの操作ができます。
受講内容は、学科が13時間、実技講習が25時間の、計38時間プラス試験となり、自動車の運転免許証のように、空いている時間に講習が受けられるわけではありません。指定された日程で、連続6日間の受講が必要になります。また、受講日程に土日を含める場合もあります。
建機関連の中でも、受講期間は比較的長い資格となりますが、大型特殊免許を取得している場合など、優遇される受講要件を満たしていれば、最短14時間(2日間)で済みます。
車両系建設機械(解体用)運転技能講習
車両系建設機械(解体用)運転技能講習は、労働安全衛生法施行令別表第7の分類のうち、「解体用機械」が対象となる資格です。この資格を取れば、解体用のアタッチメントをつけたユンボを操作できます。解体用のアタッチメントは、ブレーカー、鉄骨切断機、コンクリート圧砕機および解体用つかみ機があります。
車両系建設機械(解体用)運転技能講習の講習は1日ですが、車両系建設機械(整地・運搬・積込み用及び掘削用)運転技能講習を修了していないと受講できません。
ユンボの操作で必要になる追加資格
車両系建設機械(整地・運搬・積込み用及び掘削用)運転技能講習の資格は万能ではありません。解体用のアタッチメントをつけたときに、車両系建設機械(解体用)運転技能講習の資格が必要なように、ほかのケースでも別の免許や資格が必要になることがあるのです。
ここでは、ユンボ操作と合わせて取得したい、免許や資格についてご紹介しましょう。
ユンボの吊り作業は別の資格が必要
ユンボのバケットに吊り金具がついている場合があり、この吊り金具で荷物を移動させることが可能です。この場合は、移動式クレーン運転士の資格と玉掛けの資格が必要です。
移動式クレーンはクレーン自体が不特定の場所に移動できるものです。倉庫や工場の天井に設置されている、天井クレーンはクレーンそのものが固定されており、不特定の場所に移動はできないので、クレーンと呼ばれます。
ユンボで吊り作業を行う場合は、小型移動式クレーンまたは移動式クレーンの資格と玉掛けの資格でも作業ができますが、吊り作業中の走行は、安全上の観点から禁止されています。
また、ユンボは吊り作業のための機械ではないので、重すぎる物や大きすぎる物を扱うと、転倒などの事故の原因となります。十分に注意をしましょう。
<吊り作業に必要な資格>
吊り上げ荷重1t未満:移動式クレーンの運転の業務に係る特別教育
吊り上げ荷重5t未満:小型移動式クレーン運転技能講習
吊り上げ荷重5t以上:移動式クレーン運転実技教習および学科試験
<玉掛け作業に必要な資格>
吊り上げ荷重1t未満:玉掛け特別教育
吊り上げ荷重1t以上:玉掛け技能講習
ユンボの移動に必要な資格
ユンボを移動させるには、資格が必要な場合があります。例えば、タイヤ式のユンボでナンバーを取得していれば一般道路を走行可能できますが、その場合は大型特殊免許が必要です。
また、ナンバーを取得していない、走行方式がクローラー(キャタピラー)の建設機械は、一般道路を走行できませんので、トラックやトレーラーなどで移動させる必要があります。この場合も、トラックやトレーラーのサイズに合わせた自動車免許が必要になります。
初心者向けのユンボ免許
「鉱山で大きなパワーショベルを使って掘削をするわけではない」「庭や畑の整地ができればいい」という方は、小型のユンボ免許で十分な場合もあるでしょう。そのようなときは、機体質量が3t未満の建設機械が対象になる、「小型車両系建設機械の運転の業務に係る特別教育」を受講するといいでしょう。
なお、機体質量が3t未満かどうかは、ユンボなどの建設機械にある型番や重さが記載されたプレートで機体質量を確認します。機体質量とは、建設機械本体の乾燥重量のことで、燃料や作動油を抜いた機械本体の重さのことです。
小型車両系建設機械の運転の業務に係る特別教育
小型車両系建設機械の運転の業務に係る特別教育は、労働安全衛生法施行令別表第7の分類の「整地・運搬・積込み用機械」と「掘削用機械」のうち、機体質量が3t未満の建設機械が対象になります。受講時間は学科が7時間、実技が6時間、合計2日間で取得できます。
個人で、本特別教育を受講する場合は、建設機械メーカーなどの教習所で受講するのが一般的です。会社や事業所、団体で開催されている特別教育を受講する場合もあります。団体によっては学科のみで、実技については事業者が行う必要がある場合がありますので事前にご確認ください。
必要なアタッチメントをつけて重機レンタルを利用しよう
ユンボの免許を取るのは難しいことではありませんが、作業や使用するアタッチメントで必要な資格が異なります。ユンボを使いたいのに、必要な資格を取得している方がいなかったり、資格を持った方の調整がつかなかったりすることもあるでしょう。
しかし、免許や資格を持っていない者が建設機械の操作を行うと、事業主には「6ヵ月以下の懲役、または50万円以下の罰金」、作業者には「50万円以下の罰金」がそれぞれ科されます。
また、資格はあっても、必要なアタッチメントがない場合もあるでしょう。その場合は、アタッチメントなども充実している、重機レンタルのJukies(ジューキーズ)をご利用ください。
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