扱える種類や範囲が変わったクレーンを、最新法規で紹介

建物の高層化により、ますます使用頻度が増える重機のクレーン。
建築現場だけで無くさまざまな場面で用途が急増し、幅広いタイプのクレーンが活躍しています。
その詳細を最新法規(2019年版)に沿って解説していきます。

移動式クレーンと固定式クレーン

クレーンは国家資格の免許別で、「移動式クレーン」と「固定式クレーン」に分かれます。違いとして、移動式クレーンは車台部に車軸があり自走できるクレーンのタイプで、固定式クレーンは港湾や工場などに設置されているタイプになります。

クレーン免許の種類などを見ると、「クレーン・デリック」と表記されていますが、物を吊るして運ぶ重機の中に、ふたつの分類があります。

・クレーン
軸になるマストが無く、油圧シリンダーやウインチなどで直接ブームを吊り上げる装置。動力を使って荷物を吊り上げるもので、水平移動は定義にあるが、動力定義はありません。移動式クレーン、無線操作式クレーンなどがあり、免許によって運転できるクレーンが異なります。

・デリック
軸となるマストからブームの先端にワイヤーが張られた吊り上げ装置。マストまたはブームを持っていて、原動機を別置してワイヤーで操作します。デリックに対応した運転免許が必要となり、クレーンのみの運転免許では運転できません。

クレーンの種類とは

移動式クレーンにも、いくつかの分類があります。
代表的なものは次の通りです。

・ トラッククレーン
トラックのシャシー、またはクレーンキャリアの上に架装されたクレーンのことです。道路走行用とクレーン操作用のふたつの運転席があります。特殊用途自動車として登録されています。

・ 車両積載型トラッククレーン
一般的にはカーゴクレーンと呼ばれており、キャブとトラックの荷台の間に架装されている簡易クレーンのことです。ユニックという名称は、古川ユニックの商標です。

・ ホイールクレーン
車輪の付いたクレーンで、走行可能なものを示します。特殊自動車に分類されています。

・ ラフテレーンクレーン
ホイールクレーンのうち、不整地走行に優れたクレーンを示します。

・ オールテレーンクレーン
外観的にはトラッククレーンに似ていますが、4軸・8輪車以上の可動性があります。車体が大きく、重量があるため安定性に優れており、高所へのつり下げ作業に適しています。また名前の通り、すべての車輪を舵取りできるので、最小半径が小さく小回りがききます。

・ クレーン船
船舶や艀(はしけ)に搭載したクレーンのことです。浮き (フローティング)クレーンとも呼ばれます。ただし船舶甲板上に設置された、自船の荷物の積み降ろしを主に行うクレーンは揚貨装置となり、免許資格上、クレーンではありません。※別資格が必要です。

クレーンの資格について

クレーンの免許は、国家資格で移動式のクレーン運転士免許と、固定式のクレーン・デリック運転士免許があり、次の4タイプに分かれています。

1.クレーン・デリック運転士免許(限定無し)
すべてのクレーン、デリックを運転することができます。
2.クレーン・デリック運転士免許(クレーン限定)
デリック以外のすべてのクレーンを運転することができます。デリックを除いた吊り上げ荷重が5トン以上の場合のクレーンも運転できます。
3.クレーン・デリック運転士免許(床上運転式クレーン限定)
デリックと無線操作式クレーンを除いたクレーンを運転することができます。2006年4月1日以前の免許は、「クレーン運転士 (床上式運転限定)免許」と表記されており、現在は名称が変更されています。
4.移動式クレーン運転士免許
さまざまな移動式クレーンを運転することができます。

クレーン・デリック運転士免許ですが、当初は構造体が違うことからそれぞれ別の免許でしたが、2006年に統合され、今のクレーン・デリック運転士免許になっています。

床上運転式とは、運転士が床上で運転をし、ガーダ(けた)の走行と一緒に移動するクレーンのこと。トロリ(荷を吊ってクレーンけたの上を走る移動体)の横行については運転士が移動する必要はありません。

床上運転式と似たクレーンで、床上操作式クレーン(技能講習を受ける必要があります。次のブロックで紹介しています)があります。
これは操作スイッチがトロリから下がっているため、つねにトロリと移動する必要があります。

また国家資格は必要ありませんが、技能講習を受けなければ操作できないクレーン資格もあります。

<技能講習が必要なクレーン>
・ 小型移動式クレーン
トラックなどに架装されている、吊り上げ荷重が5トン未満の移動式クレーンです。該当トラックの自動車運転免許と共に、講習を受ける必要があります。

・ 床上操作式クレーン
床上操作式クレーンは、工場の天井などに設置されている大きなクレーンのことです。このクレーンはペンダントスイッチで操作します。

・ 玉掛け(1トン以上)
玉掛けとは、クレーンのフックに荷を掛けたり外したりする作業のことです。この玉掛けで1トン以上では、ワイヤーロープやシャックル(ワイヤーロープの先端などに連結するU字型の連結金具)などの用具を使い、玉掛けの技能講習を受けた方がいないと行えません。

さらに、特別教育を受けることで次の5種類のクレーンが操作できます。

<特別教育が必要なクレーン>
・ クレーン
吊り上げ荷重が5トン未満のクレーン、吊り上げ荷重5トン以上の跨線・テルハの操作
・ 揚貨装置
制限荷重5トン未満の操作
・ 玉掛け
吊り上げ荷重1トン未満の操作

クレーンは、重量の重い荷物を取り扱う危険な作業なので、作業内容に応じて細かく安全管理の規定があり、さらに必要な免許、講習特別教育が決められています。

クレーンのレンタル

さまざまなタイプがあり、作業に応じて国家資格免許の取得、技能講習や特別教育の受講が必要なクレーン。
Jukiesではオペレーター付きのサービスもあり、さまざまなクレーンでの作業を行って頂くことも可能です。まずはどのようなクレーンがあるか、Jukiesでご確認ください。

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